野田に伝わる、撫でベコのお話をご存知でしょうか。
これは二百年ほど前の話だそうです。
野田村は古来より塩の産地でしたが、
その塩を盛岡や雫石、鹿角地方へと塩を運んでいました。
その塩を運ぶ際に登場したのが、主に牛(ベコ)だったそうです。
△「道の駅のだ」の物産館にあるジオラマ
ある夏の日、清右エ門という牛方が、
7頭の牛を連れて塩を内陸へ運んでいました。
野田から七泊して八日目、あと一息で盛岡の塩宿に着くというところで、
暑さのために 背赤という名のベコが中津川に入ってしまいました。
なんということでしょう!それに続き ほかの牛も川に入ってゆき、
苦労して運んできた塩は川の水に溶けてしまいました。
「この野郎!ぶっ殺してやっちょう!」
頭に血が上った牛方はそのベコを叩きいじめますが、
背赤は近くにあった千手院(せんじゅいん)というお寺に逃げ込みます。
そしてそこの住職が、追いかけてきた清右エ門を制止し「ベコには何の罪もない」と諭します。
住職の話を聞くうちに牛方も怒りを収めていき、
弱ってうずくまる背赤の背中を、涙を浮かべながら撫でます。
「おれが悪かった、おれの追い方が悪かったんだ。
許してくれ、死ぬが!この通りだ・・」
しかし牛方や住職の祈りもむなしく、背赤はそこで死んでしまいます。
その後、牛方・清右エ門は盛岡の名工に、尺五寸(約45cm)、重量十二貫(45kg)の鉄製のベコを作ってもらい、千手院に寄進したそうです。
△観光物産館ぱあぷるで販売しているミニ撫でベコ(幅約15cm/3,675円)
この小さな像は、現在も盛岡の千手院の本堂に安置されています。
身体堅固、交通安全、災難よけ、子宝と安産・水子観音としてご利益があり、二百年にわたって撫でベコさんは撫でられ愛されてきたそうです。
△「千手院」は当時、盛岡市の山岸という場所にあったそうですが、
現在は場所を変えて盛岡市鉈屋町(なたやちょう)にあります。
そしてこの盛岡千手院にある撫でベコを石膏で象り、富山県の製作所で青銅(ブロンズ)に鋳造したものが、ここ野田村にあります。
「海蔵院」や「国民宿舎えぼし荘」をはじめ、村のそちこちで見ることができます。
野田のお菓子屋さん“まるきん”さんの銘菓「撫でベコ」
バター風味の生地の中に、のだ塩入りミルク餡をつつんだ焼き菓子。
やさしい味で、大好きなお菓子の一つです❤
というわけで、今日は野田村に伝わる昔話のご紹介でした。
野田村へ来たら、ぜひ「撫でベコ」を探して撫でてみてくださいね。
次の記事では、撫でベコにまつわる新商品のお知らせです♪
-書籍データ-
今回ご紹介した物語「千手院の撫牛」の原文は、村発行の『野田塩ベコの道』でご覧いただけます。観光物産館ぱあぷるでも販売しておりますので、ご興味のある方は手に取ってみてください。
【価格】1,500円
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タグ:まるきん, まるきん, 観光物産館ぱあぷる, 観光物産館ぱあぷる, 道の駅のだ, 道の駅のだ
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